水道の蛇口をひねると「ガガガ」「ブーン」といった、まるで蛇口が悲鳴を上げているかのような異音が聞こえる。もし、特定の蛇口を使った時だけこのような音がするのであれば、その原因は蛇口内部の部品の劣化である可能性が高いです。蛇口は毎日何度も操作されるため、内部の部品は少しずつ摩耗・劣化していきます。特に異音の原因となりやすいのが、水を止めたり流量を調整したりする役割を持つ部品です。昔ながらのハンドルが二つあるタイプの蛇口(ツーバルブ混合栓など)の場合、「コマパッキン(ケレップ)」や「スピンドル」という部品が劣化している可能性があります。コマパッキンは、水の流れを直接せき止めるゴム製の部品で、これが劣化して変形したり硬くなったりすると、水の流れで振動しやすくなり、異音を発生させることがあります。スピンドルは、ハンドルを回すことでコマパッキンを上下させるネジ状の部品で、これも摩耗するとガタつきが生じ、異音の原因となることがあります。シングルレバータイプの混合栓の場合は、「バルブカートリッジ」という部品が内部に組み込まれています。レバーの操作に応じて水やお湯の流量、温度を調節する心臓部ですが、このカートリッジが劣化・摩耗すると、内部で部品が振動したり、水の流れがスムーズに行われなくなったりして、「ガガガ」「ゴー」といった異音を発生させることがあります。これらの部品の劣化は、異音だけでなく、水漏れの原因にもなります。コマパッキンの交換程度であれば、DIYに慣れている方なら比較的簡単に行える場合もありますが、スピンドルやバルブカートリッジの交換は、適合する部品の選定や分解・組み立てに専門的な知識が必要となるため、難易度が高くなります。特にバルブカートリッジは、メーカーや型番によって形状が異なり、適合しないものを取り付けると水漏れや故障の原因となります。もし蛇口からの異音が部品の劣化によるものだと疑われる場合は、無理に自分で分解しようとせず、水道業者に相談するのが最も確実で安全な方法です。業者であれば、原因を正確に特定し、適切な部品交換を行ってくれます。蛇口の悲鳴は、交換時期を知らせるサインなのかもしれません。