冬休みを利用して、Aさん一家は数日間、実家へ帰省することになりました。出発は明日の早朝。荷造りもほぼ終わり、あとは家の戸締まりなどを確認するだけです。ふと、Aさんは天気予報を思い出しました。帰省中、自宅のある地域は強い寒波に見舞われ、最低気温が氷点下まで下がる日が続く予報です。「そういえば、家を空けている間に給湯器が凍結したら大変だ!」Aさんは、以前友人から聞いた給湯器凍結のトラブル話を思い出し、急いで給湯器の取扱説明書を探しました。取扱説明書には、長期間不在にする際の凍結防止策として、水抜きの方法が詳しく書かれています。Aさんは、妻と協力して水抜き作業を始めることにしました。まず、リビングにある給湯器のリモコンの運転スイッチを切りました。次に、家の外に出て、給湯器本体の場所を確認。給湯器の下部にあるカバーを開け、電源プラグをコンセントから抜きました。そして、給湯器に繋がっている水道管の根元にある給水元栓(ハンドル式のバルブでした)を、時計回りに固く閉めました。「これで水の供給は止まったはずだね」とAさん。次に、取扱説明書の図を見ながら、給水側と給湯側の水抜き栓を探します。少し分かりにくい場所にありましたが、二つの小さな突起のような栓を見つけました。一つは手で回せましたが、もう一つはマイナスドライバーが必要なタイプでした。Aさんは工具箱からドライバーを取り出し、慎重に二つの水抜き栓を反時計回りに回して緩めました。すると、チョロチョロと水が出てきました。「ちゃんと水、抜けてるね!」妻が用意してくれたバケツで水を受け止めます。取扱説明書には「宅内の全ての蛇口(お湯側)を開ける」と書いてあったので、妻に家の中に入ってもらい、キッチン、洗面所、浴室の蛇口とシャワーのお湯側を全開にしてもらいました。しばらくすると、水抜き栓から出てくる水の勢いが弱まり、やがてポタポタという程度になりました。「これで配管の中の水も抜けたかな」Aさんは、水抜き栓と宅内の蛇口は開けたままにしておく、という指示も確認し、その状態で作業を終えました。最後に、給湯器のカバーを元通りに取り付けました。少し手間はかかりましたが、これで安心して帰省できます。「これで帰ってきたときに、お湯が出ない!なんてことにならずに済むね」と、Aさん夫妻は顔を見合わせて微笑みました。