産業用ポンプの種類と用途、現場で活躍するポンプたち

産業分野では、さまざまな種類のポンプが、それぞれの用途に合わせて活躍しています。ここでは、代表的な産業用ポンプの種類と、その用途について解説します。まず、「遠心ポンプ」は、産業分野で最も広く使用されているポンプです。羽根車が回転することで生じる遠心力を利用して液体を送り出す仕組みで、上下水道、化学プラント、発電所、ビル設備など、幅広い用途で利用されています。比較的小型で高効率、メンテナンスも比較的容易なのが特徴です。次に、「ギヤポンプ」は、2つの歯車がかみ合って回転することで、液体を歯車の隙間に閉じ込めて移送するポンプです。高粘度の液体や、定量的な移送が必要な用途に適しており、塗料、インク、接着剤、石油製品などの移送に使用されます。また、「スクリューポンプ」は、螺旋状のスクリューが回転することで、液体を軸方向に押し出すポンプです。高粘度の液体や、スラリー(固体粒子を含む液体)の移送に適しており、下水処理、食品加工、化学工業などで使用されます。「ベーンポンプ」は、ローターに取り付けられた複数の羽根(ベーン)が回転することで、液体を吸入・吐出するポンプです。比較的低騒音で、油圧機器、工作機械、建設機械などに使用されます。「ダイヤフラムポンプ」は、ダイヤフラム(膜)の往復運動によって液体を吸入・吐出するポンプです。スラリーや腐食性液体の移送に適しており、化学工業、食品工業、医薬品製造などで使用されます。「プランジャーポンプ」は、プランジャー(円筒形の棒)の往復運動によって液体を吸入・吐出するポンプです。高圧力を発生させることができ、高圧洗浄機、油圧プレス、化学薬品の注入などに使用されます。「軸流ポンプ」は、プロペラのような羽根車が回転することで、液体を軸方向に押し出すポンプです。大流量・低揚程の用途に適しており、灌漑、排水、河川の取水などに使用されます。「渦巻きポンプ」は、遠心ポンプの一種で、ケーシング(ポンプの外側の覆い)が渦巻き状になっているのが特徴です。遠心ポンプの中でも、特に広く使用されているポンプです。産業用ポンプは、これらの他にもさまざまな種類があり、それぞれの用途に合わせて最適なポンプが選定されています。