日曜日の昼下がり、佐藤さん一家はリビングでのんびりとテレビを見ていました。小学一年生の息子、健太くんが「お母さん、トイレの水が流れない」と少し不安そうな顔でリビングに戻ってきました。妻の由美さんが慌ててトイレに向かうと、便器の水位が普段よりかなり高くなっているのが見えました。レバーを引いても、水はゆっくりと上がるだけで、一向に流れる気配がありません。「あら、大変。詰まっちゃったみたい」と由美さん。夫の隆さんも様子を見に来て、「また健太がたくさん紙を使ったんじゃないか？」と少し呆れたように言いました。家族は少しパニックになりました。今日は日曜日で、業者を呼ぶにしてもすぐに来てくれるかわかりません。隆さんはひとまずラバーカップを探し始めましたが、物置の奥にしまい込んであり、すぐには見つかりそうにありませんでした。その間にも、便器の水は少しずつですが、じわじわと水位を保っています。由美さんが「どうしよう、溢れたら」と心配そうに呟いた、まさにその時でした。何の前触れもなく、「ゴボゴボッ」という大きな音がトイレから響き渡ったのです。三人で恐る恐るトイレを覗き込むと、あれほど頑固に溜まっていた水が、まるで何事もなかったかのようにすっきりと引いていました。健太くんが「わあ、直った！」と嬉しそうに声を上げます。隆さんと由美さんも顔を見合わせ、安堵のため息をつきました。おそらく、健太くんが使った大量のトイレットペーパーが、時間をかけて水にふやけ、一瞬のタイミングで流れ去ったのでしょう。この出来事の後、佐藤家では「トイレットペーパーは使いすぎないこと」という新しいルールができました。一瞬で解決したとはいえ、トイレつまりがもたらす緊張感は、家族にとって忘れられない教訓となったのです。