知識
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止水栓の種類と構造、なぜ固着しやすいのか
トイレの止水栓がなぜこれほど固着しやすいのかを理解するためには、その内部構造を知ることが役立ちます。一般的にトイレで使用されている止水栓は、「アングル形止水栓」と呼ばれるタイプで、内部は水道の蛇口と非常によく似た構造をしています。止水栓の本体内部には、水の通り道を塞ぐための「コマパッキン(ケレップ)」というゴム製の部品が入っています。そして、私たちがドライバーで回しているネジの部分は「スピンドル」と呼ばれ、このスピンドルを時計回りに回すと、先端が下がり、コマパッキンを弁座(水の出口)に押し付けて水の流れを止めます。逆に、反時計回りに回すとスピンドルが上がり、水圧でコマパッキンが持ち上げられて水が流れる、という仕組みです。問題は、このスピンドルと本体のネジ山部分、そしてコマパッキンと弁座の接触部分です。トイレは常に水が供給され、タンクが満水になると流れが止まるという動作を繰り返しています。この水の流れが止まっている間、止水栓の内部には常に水が滞留している状態になります。水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムといったミネラル分は、水分が蒸発したり、時間が経過したりすると、硬い結晶(水垢やカルキ)となって析出します。この結晶が、スピンドルの細かいネジ山や、コマパッキンの周辺に少しずつ蓄積していき、年月をかけて部品同士の隙間を埋め、まるで接着剤のように固めてしまうのです。これが固着の主なメカニズムです。長期間動かさないことで、この結晶化が進行し、いざ動かそうとした時には、もはや人の力では回せないほど強固に固まってしまう、というわけです。